リレー投函「2020を生きぬく」

2021年2月18日木曜日

必要ない命はない

 

 杉並区長のトリアージ発言は、命の選別を進めるものであり、決して許してはいけないものです。区長はあくまでも医療従事者の負担を軽減するためだという趣旨の事を、言っていますが、トリアージをすることが医療従事者の負担を軽減することにはなりません。 

命の選別をすることは、何人たりともしてはならないことです。その定義を設けることもしてはならないのです。どんな命でも必要ない命はありません。たとえ高齢だとしても、障害があっても、余命が少なかったとしても、必要ないと決められる命はありません。 

区長が提案したことは、優生思想そのものです。優生思想は、社会に対して貢献する命と貢献しない命を選別する思想です。この思想を私は絶対認めません。この世の中に貢献する命と貢献しない命などありえないからです。どんな命も大切な命です。区長は自分の命が誰かに貢献しない命と判断されても構わないということでしょうか? 少なくとも区長は自分が、その選択に該当しないと思っているから、このような発言をなされたのでしょうか? 私にはよく分かりません。人が人の命を選別することは、やってはならないことなのです。今コロナ禍の医療従事者の負担は大変大きなものと思います。しかし、その負担軽減に命の選択をするのは間違っていると私は思います。もっとやるべきことがたくさん残っているはずです。誰かが傷つく仕組みではなく、誰も傷つけない仕組みを考え、施策として打ち出すのが区長の仕事でしょう。 

みちこ

2021年1月26日火曜日

PCR検査をうけて

 

2021年の元旦に、私に入ってくれている介助者がPCR検査を受けて、陽性になりました。

私は1月4日にPCR検査を受けて陰性となりましたので、ご報告いたします。

以下に一連の流れをまとめます。

 

今回陽性となった介助者と私が最後に接触したのが、昨年の12月28日の朝でした。

27日の夜勤者だったので、朝は数秒挨拶したのみで、別れました。

 

12月29日、私は年末年始に帰省する予定のため、自費で唾液採取によるPCR検査を受けました。費用は2万円ほどで私にとって大きな出費でしたが、普段離れて暮らす家族と会う時間には代えられず、私と家族が安心するためのPCR検査でした。PCR検査の結果は検査を受けた6時間後に出ました。結果は陰性でした。

 

1月2日の夜、事業所の管理者から電話がありました。介助者が30日に微熱を出し、元旦にPCR検査を受けて陽性と診断されたという内容でした。その時点で気が気ではありませんでしたので、1月2日の21時頃からコロナのコールセンターを探し始めました。

ですが、正月休み中の夜なので、私の住んでいるA区の窓口は開いておらず、東京都のコロナコールセンターが24時間開いているので、かけてみました。やはりつながりにくく、つながるまで10分くらいかかりました。

コールセンターに状況を伝えて、私が濃厚接触者になるのか尋ねたところ、陽性者が接触した人物として、私の名前を挙げていなければ濃厚接触者かどうか判断できないので、まずは陽性者に名前を挙げてもらうように頼んでほしいと言われました。

東京都のコロナのコールセンターでは、陽性者や症状のある方からの連絡がないと動かないような印象を受けました。しかも陽性者の方から居住区の保健所に連絡が必要とのことでした。

 

私とその介助者は住んでいる区市町村が違うので、対応が遅くなるだろうと思っていました。

A区の保健所が開くのが4日の8時半からなので、それまで待つことにしました。

3日の夜にはアパートに戻りましたが、不安であまり眠れませんでした。3日の夜勤者はコロナ陽性になった介助者と同じ事業所から派遣された責任者だったので、介助を嫌がられることはなく、むしろ何度も謝られました。ここまで感染が拡がれば仕方のないことだし、介助者の心の疲労が心配でした。

4日の朝、A区の保健所に電話しましたが、コロナに関しては別の窓口があるからととりあわれず、区内のコロナの窓口が開くのを待ちました。

 

9時に窓口に電話をして、状況を説明しても陽性となった介助者の情報が共有されていないのでわからないが、最後に会ったのが28日の朝ということなので、濃厚接触者の定義として具合が悪くなる2日前までに接触した者となっているので、微妙なラインと言われました。

また、接触したときに、マスクをしていたかどうかを執拗に聞かれました。私が障害者で身体介護があるので、マスクをしていようがしていまいが、普通より接触することになるということや、抱えの際に顔が近づくことなどを伝えましたが、いまいちピンときていない様子でした。まだまだ重度障害者が地域で暮らしていることが当たり前ではないのだと感じました。

そんな会話の後、軽く問診をされて、不安と焦りで軽い倦怠感と声が出にくい状況だったので、伝えました。その時点では「その症状ではコロナに感染している可能性は低いので、PCR検査は受けられない」と言われましたが、うちには何人も介助者が出入りするので、私がコロナになったら感染が拡がるので、どうしてもPCR検査を今日中に受けたいと訴えました。施設に入所しているのかとか、単独行動できるのかとか、人の話を聞いていないような返答ばかりされましたが、「ヘルパーさんやそういう暮らしをしている特殊な場合は、検査対象にあたるのかどうか、保健師を交えて検討するので、待ってほしい」と言われ、電話を切りました。

 

その間に各事業所に連絡をしました。その時の対応は後述します。

 

保健師から電話がくるまでの間、役所の障害福祉課にも連絡を取りました。もし私がPCR検査の対象にあたらなかったとしたら、どうしたらよいですか?と尋ねたところ、「保健所にPCR検査に該当しないと言われたら、あなたの暮らしている状況などを説明することはしようと思うので、保健所からの返答を教えてください」と言われました。

また、A区にはPCR検査の結果が陰性で、かつ濃厚接触者になった在宅での介助が必要な障害者に対して、区がコロナの対応策として、期間限定で事業所と契約し、障害者の自宅に介助者を派遣するといった取り組みがなされているので、その制度を私が使えるのかどうか聞いたところ、「濃厚接触者で陰性であることなど条件があるので、まずはあなたが濃厚接触者にあたるのかどうか、情報がほしい」と言われました。その時は濃厚接触者であるかわからなかったので、話を終えました。余談ですが、この制度は3月31日で一旦の区切りがつけられるようです。延長されることも視野に入れていると説明があったので、延長も求めなければなりません。

10時半に保健所から連絡があり、「陽性者の住んでいる区から連絡はないが、倦怠感や声の出づらい状態ということなので、PCR検査に該当します。濃厚接触者にあたるかどうかはまた連絡があるので待っていてください。これからPCR検査を受けられる病院を探しますが、時間指定ができないのと、病院の指定もできないのでご了承ください。なるべく自宅から近い病院を探します。PCR検査を受けるパターンが2種類あって、医師の問診があるのと、検査だけのパターンがあるのですが、どちらがよいですか?」と聞かれたので、特に症状も軽く数日前にPCR検査を受けていることから、検査だけ受けることにしました。

内心ほっとしましたが、PCR検査に該当した理由として、体の症状があげられたので、私の生活状況がどれだけ考慮されたのかわからないため、そのあたりの基準について詳しく知っておきたいと思いました。

 

それからほどなくして私が濃厚接触者にはならないという連絡があったので、気持ち的にも少し落ち着きました。

その後にC病院の予約が取れたと連絡があり、そのときには時間は伝えられず、12時ごろになって「1340分の予約が取れたので、行ってください」と言われました。病院へは徒歩かタクシーでと指定されたので、タクシーで行くことにしました。

急な予約でしたが、変更すると次の日の予約になると言われたので、急いで行きました。

乗ったタクシーには、私が普段使っている大きめの電動車いすごと後部座席に乗りました。タクシーを配車するのに、車種が指定できたのであまり時間がかからなかったことと、私がタクシーに乗り慣れていたので、スムーズに説明できたことで、比較的早く移動できました。

C病院に着くとPCR検査を受ける人が間隔をあけて列を作っていました。病院内に入ることなく病院の敷地内にテントを張り、非接触型体温計で検温をして症状などを聞かれ、鼻ぬぐいによる検査を受けました。その間ずっと介助者も同行し、特に引き離される雰囲気もなかったので、よかったです。

PCR検査自体は病院についてから15分程度で終わり、検査後4時間ほどで結果がショートメールできました。

結果が陰性だったので安堵しましたが、1日中連絡をとっていたので、非常に疲れました。

保健所に連絡してから1日で検査を受けて結果がその日に出たのは非常に助かりました。

 

 

介助の状況ですが、3社と契約しているうち、D社は私が濃厚接触者になれば、本社と話し合って対応を決めなければならない、今回は濃厚接触者に当たらないので、通常通り派遣する、濃厚接触者だからといって派遣を打ち切ることはないと思うが、できる限り離れて介助するなど対策を考えるとのことで、本社と話し合った結果が私に伝えられることになりました。

E社は濃厚接触者でも派遣するが、できるだけ距離をとって感染対策をすると言われました。F社も同じような対応になると思われます。F社はコロナ陽性者が出てしまった事業所なので、私と一緒に介助の穴埋めに奔走してくれています。

 

今回感じたこと

・任意のPCR検査費用が高額であるので、容易に受けられないこと、任意であっても用心のために受けることは変わりないので、保険適用にしてほしい。

・PCR検査の該当者の要件に障害者であることはあまり加味されないように感じるので、各自治体への交渉が必要であると痛感しました。今回は無症状だったので、自力で交渉できましたが、体調が悪いときに頻回なやり取りなどやっていられないと思います。

・常時介助が必要な自分が濃厚接触者あるいは陽性になったときにどのような対応になるのかを改めて行政と事業所とやりとりしていくことが重要だと考えます。

 

 

2021年1月23日土曜日

政治はひとりでも死なせないこと

 

 東京都杉並区の田中良区長は8日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、重症者の「トリアージ」のガイドラインの策定を東京都の小池百合子知事に要望した。

 

 これについての僕の思いを書きたいと思います。僕は大田区の脳性マヒ者です。重度訪問介護を使い、電動車椅子で生活しています。

 

 田中区長は頑張ってみるように見えるけど、逆の方向、つまり悪い方に頑張っていると思います。

 

 よく考えてほしいと思う。政治が人の命を選ぶようになったら終わりだ。民衆の声を聞いてほしい。

 

 人の生き死にを政治は決めていけないと思います。政治がやならくちゃいけないのは、人の生き死にを決めることではなく、1人でも死なせないようにありとあらゆることをやることです。やれることは今だってある。補償をきちんとすること。病床を確保すること(よく指摘されることですが、オリンピックの選手村を開放することだってできるはずです)。

 

 やれることをやらずに命の基準なんてもってのほかです。「そう言ってられない状況ではないのか?」と言う人もいるかもしれない。

 

 でも実際に呼吸器をつけている人が生きているのに、そこから外して別の人につけたりするのは、とてもおかしいと思うんですが。病院を多くするとかやれることがあるんじゃないですか?それをやらないでそう言ってしまうとやっぱり人の命を切り捨てていることになるでしょう。

 

 やれることをやらずに「トリアージ」なんて極端な場面だけを考えても意味がない。そう言うと「社会にはそんな余裕はない!」と言う人もいる。でも、社会に負担がかかるからと言って「命」を切り捨てるのは本末転倒です。人のために社会があるんで、社会のためにひとがいるんじゃない。

 (すずき)